自動車の整備工場には、一般的に「認証工場」と「指定工場」という2つのタイプが存在します。これらは、自動車の整備点検を行うために国から認可を受けた工場で、それぞれ異なる特性を持っています。今回は、認証工場と指定工場の違いについて詳しく解説します。
認証工場とは?
認証工場は、自動車の分解整備を行うために地方運輸局から認証を受けた工場のことを指します。認証を受けるには、以下の要件を満たす必要があります:
2級整備士が在籍していること(従業員数により必要な2級整備士の数が異なります)
規定された工場規模や車両の規模が確保されていること
指定された設備や備品が整備工場に揃っていること
工場所在地や法令に関して問題がないこと
認証工場は、分解整備を含む様々な整備作業を行うことができ、一部の認証工場では車検も受け付けています。ただし、車検を行う場合でも、実際の検査は陸運支局や自動車検査登録事務所などの公的な車検場で行われます。
指定工場とは?
指定工場も認証工場同様、国から自動車の整備点検を認められた工場ですが、認証工場と異なり、工場内で車検を実施することができます。指定工場は、民間車検場とも呼ばれます。
指定工場は、認証工場の要件に加えて、次の要件を満たす必要があります:
車検を実施するための作業機器や検査施設が整備されていること
自動車検査員が配置されていること
指定工場は、自動車の点検整備を行い、自動車検査員が検査を実施した結果、保安基準の適合性を証明し、保安基準適合証を発行します。この証明書を提出することで、車両の持ち込みを省略できます。
さらに認証工場と指定工場の違いについて「作業場」「設備」「人材」に分けてまとめてみました。
作業場について
認証工場:
車両整備作業場
点検作業場
部品整備作業場
車両置き場
指定工場:
車両整備作業場
点検作業場
部品整備作業場
車両置き場
完成検査場
工場内の作業場において、認証工場と指定工場の主な違いは「完成検査場」の有無です。指定工場は、車検を実施するために特別な環境が必要であるため、完成検査場を備えていることが特徴です。
設備について
認証工場:
点検整備に必要な機器
指定工場:
点検整備に必要な機器
検査に必要な機器
設備においても、作業場と同様の理由から、「検査に必要な機器」の有無が両工場の違いとなっています。
必要な人材について
認証工場:
従業員のうち、1~2級の自動車整備士が1名以上いること
自動車整備主任者の届出を提出していること
2名以上の従業員が分解整備に従事していること
指定工場:
自動車検査員が1名
1~2級の自動車整備士が1名以上いること
工員が4名以上
自動車整備主任者の届出を提出していること
必要な人材における一番の違いは「自動車検査員」の有無にあります。自動車検査員は、車検において点検・整備を実施し、自動車が法定基準に適合しているかどうかを検査する役割を果たします。自動車検査員がいなければ、工場内で車検を実施することはできません。この点が指定工場の特徴です。
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