令和3年9月下旬に交付予定(即日施行予定)の改正省令及び改正告示を持って、乗用車へのEDR(車速、加速度、シートベルト着用有無等を記録する事故情報記録装置)の搭載が義務付けられる見通しだ。
国の検討会では、EDRを含む車載記録装置について「装置に記録された事故データは、車両安全対策における交通事故分析への活用に加え、保険料算出や交通事故に関する民事裁判などの責任関係の明確化や交通事故等の捜査への活用など、多岐にわたって利用価値があるものである」としている。
さて、EDRは2022年7月以降の新型車から義務化(継続生産車についても2026年5月以降から義務化)となるが、この装置に記録されたデータは、
・外部装置で消去することができない。
・裁判の証拠能力を持つ可能性が高い。
などの特徴も併せ持つため、今後の自動車アフターマーケットに大きな影響をもたらすと考えられている。
各業界の今後の動向に注視が必要だ。
損害保険業界:
・EDRデータは交通事故の過失割合を決定するデータとなる可能性がある。
・EDRデータは車体整備工場との修理見積もり協定の根拠データとして活用される可能性がある。
車体整備業界:
・交通事故車両のEDRデータ保護の役割を担う可能性がある。
・EDRデータの読み出し保存の役割を担う可能際がある。
・EDRデータは損害保険会社との修理見積もり協定の根拠データとして活用される可能性がある。
中古自動車業界:
・EDRデータが修復歴判定の根拠データとなる可能性がある。
・EDRデータがオークション検査のR判定に活用される可能性がある。
<参考①>
記録項目:
・速度変化量
・表示車速
・加速度
・シートベルト着用の有無
・車体の傾き角度
・衝突被害軽減ブレーキなど先進安全技術の作動状態(2024年7月以降)
記録トリガー:
・縦方向もしくは横方向の速度変化が150㍉秒以下の間隔で時速8㌔㍍以上起きた場合
・エアバッグ等が作動した場合
<参考②>
道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令案及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示案について
1.改正の背景
我が国は、自動車の安全基準等について国際的な整合性を図り自動車の安全性等を確保するため、国際連合の「車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る調和された技術上の国際連合の諸規則の採択並びにこれらの国際連合の諸規則に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定」に平成10年に加入し、現在、当該協定に基づく規則(以下「協定規則」という。)について段階的に採用を進めているところである。
今般、国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第 183 回会合において、「事故情報記録装置に係る協定規則(第160号)」が新たに採択された。
また、「乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに係る協定規則(第152号)」、「タイヤ空気圧監視装置に係る協定規則(第141号)」等の改訂が採択された。
これらを踏まえ、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)、道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)、装置型式指定規則(平成10年運輸省令第66号)、道路運送車両法関係手数料規則(平成28年国土交通省令第17号)及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号)等について、所要の改正を行うこととする。
2.改正の概要
⑴ 道路運送車両の保安基準及び道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部改正 道路運送車両法(昭和26年法律第185号。以下「法」という。)第3章の規定に基づく保安基準について、以下の改正を行うほか、所要の改正を行う。
① 乗車定員10人未満の乗用車及び車両総重量3.5t以下の貨物車には、事故時に車両に関する情報(車速、加速度、シートベルト着用有無等)を記録する事故情報記録装置を備えなければならないこととする。
② 乗車定員10人未満の乗用車及び車両総重量3.5t以下の貨物車には、対静止車両、対走行車両及び対歩行者の制動要件に加え、対自転車の制動要件に適合する衝突被害軽減ブレーキを備えなければならないこととする。
③ タイヤ空気圧監視装置の技術的な要件の適用対象に、車両総重量3.5t以上のトラック及びトレーラ並びに車両総重量5t以上のバスを追加する。
⑵ 道路運送車両法施行規則の一部改正 国土交通大臣が指定する自動車(型式指定自動車以外の自動車等)について法第59条第1項の規定による新規検査を申請する者が提出すべき書面に、事故情報記録装置に係る基準に適合することを証する書面を加える。
⑶ 装置型式指定規則の一部改正 以下の改正を行うほか、所要の改正を行う。
① 法第75条の3第1項の規定により型式指定の対象となる特定装置の種類に、事故情報記録装置を追加する。
② 法第75 条の3第8項の規定により型式指定を受けたものとみなす特定装置に、協定規則第160 号に基づき認定された事故情報記録装置を追加する。
③ 協定規則第141号等の改訂に伴い、規則番号について変更を行う。
⑷ 道路運送車両法関係手数料規則の一部改正 道路運送車両法関係手数料令(昭和26年政令第255号)第2条第2項の規定に基づき、事故情報記録装置の型式等について指定を申請する者が、保安基準適合性についての審査を受けるに際して独立行政法人自動車技術総合機構に納付すべき手数料の額を、実費を勘案して定めるほか、所要の改正を行う。
⑸ 道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示(平成15年国土交通省告示第1318号)の一部改正 ⑴①の改正について令和4年7月(予定)から適用対象とするほか、所要の改正を行う。
⑹ その他の関係告示の一部改正 上記のほか、関係する告示の規定について所要の改正を行う。
3.スケジュール(予定)
公 布:令和3年9月下旬
施 行:令和3年9月下旬
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000221842